自源流との出会いと人生の『軸』について

 初段 M.H.

私と自源流との出会いは、1年半前のことである。私はそれまでも、恐らく人並みに人生を楽しんでいたし、仕事や趣味・人間関係をとっても、様々な課題を抱えながらもそれなりに充実していたと思う。

 しかし同時に、毎日に漠然とした物足りなさや焦燥感も感じていた。私にとって、人生を歩む上で『軸』となるべきものが欠落しているように思えたのだ。
 
 日々、様々なジャンルで活躍する人々をメディアを通して目にする度に、彼らに尊敬と羨望の眼差しを向けながら、自分は何を成すべきかを問いかけてきた。しかしその答えは、なかなか見つからなかった。
 
 幾つか趣味はあったが、私にとってそれらは「多少学ぶべきことのある一過性の楽しみ」でしかなく、ほとんどが自己満足に過ぎなかったし、興味を持った幾つかの新たな分野に目を向けてみても、やはりそれ以上になり得るものは簡単には見つからず、人生の『軸』への手がかりは長いあいだ掴めずにいた。
 
 そんな日々を漠然と過ごしていた中で突然出会い、後にそれを幸運だったと心から思えたのが、天真正自源流との出会いである。

 その頃私は護身術に関心を持っていたため、時折インターネットで合気道や空手の道場を検索していた。その折に自源流のHPを見つけたのだが、それまで剣術には全く興味が無かったにも関わらず、そのとき自源流に、急速に強い興味を抱いた。
 
 実はそれ以前にも、一度HPを訪れたことがある。今から3年ほど前だろうか?だがその時には、古武術一般に対して持つ「伝統的かつ貴重なもの」としての好奇心はあっても、それ以上の思いは持たなかった。そう考えると自分にとって最適な時期に、導かれて自源流の門を叩いたのではないかと思えてくる。

 実際、遅咲きで武術を始めた私は、『もっと早く始めたかった』と思うことが少なくない。だが、これまでの人生を振り返ると、通るべき道筋を通って、出会うべきときに出会ったのではないかという気がしてくる。

 出会って1年半ほど経った今、自源流との関わりは、私にとって生活の一部となりつつある。素晴らしい師や仲間たちに恵まれたこと、そして心身の鍛錬と自己の向上を目標とした日々の中で、やっと出会えた自源流が、私の人生の『軸』となる日は、そう遠くないような気がしている。