女性初の指導員として


 指導員三段 R.N.

約1年半前、アメリカでの武道セミナーに参加した時、拳法のアメリカ人宗家が仰いました。
「人を殺傷する方法を学ぶ連中は殆どがbrutalでsloppyだ。でも自源流の人達は同じ目的の所作をしているのに、実に美しい。その違いは・・・・“discipline”だ」同感でした。

 今までの人生で運動らしいことを全くせず、何の素養も無く入門してしまったのは、日本の美しい伝統文化・価値観の粋である武士道が、自源流で未だ息づき実践されているのと、奔放に育った為に“discipline”(躾、自己規律、修練)の持つ清廉さに憧れていたことがあります。

 様々な日本文化の中でも武道に着目していたのは、命の遣り取りという究極の場でこそ真善美が最も鮮明に現れると思ったからです。

 中でも日本刀には、高度な美学、精神性が感じられた為、他の道場で単なる武器の一つとして扱い方を習った時は物足りなく感じました。そんな中自源流に出会い、所作全ての美しさに感銘を受け、求めていた真善美を見つけたと感じ、即入門希望をしました
 人体を損壊する技は、究極的にはUFCのような野蛮な方向に流れそうですが、自源流では、むしろしなやかで柔らかな動きが見られます。その中に潜む破壊力に呆然とすることもありますが、男性より女性の方が向いていると思われる面も多くあります。

 畏れ多くも女性初の指導員になりましたが、そういった点も踏まえ、女性の後輩には体力や体調に充分配慮した取り組みやすい指導をしていきたいと思います。

 また、一人の指導員としては、自源流の哲理、術理の深遠さ、美しさを伝えられるように勉強し、修練をしていかなければならないと痛感しております。